●近づいている法制化。具体的にはどうなるのか、チェックしておく
「探偵法」の制定が近づいてきました。
今年7月、自民党は「探偵業の業務の適正化に関する法律案」をまと
め、公開しました。今後、国会に提出され、成立する見通しです。
(※注2005年6月成立しました)
法律案は、警察官僚出身の衆議院議員・葉梨康弘氏が中心になってまと
められたものです。
内容は、探偵業者に対して都道府県公安委員会への届け出を義務づける
ことや、「秘密の保持」を規定することが中心です。
また、法律の対象となるのは特定の人物を調査する探偵業者で、企業の
信用調査や、保険にかかわる調査を請け負う興信所などは含まれていま
せん。
つまり「調査業法」ではなく、まさに「探偵法」なのです。
法律制定の背景には、まず第一に、個人情報保護法の制定など個人情報
に対する意識の高まりが挙げられます。
探偵業は、依頼主やターゲットの個人情報に触れる職業でありながら、
届け出制を採る大阪府以外、これまで規制はありませんでした。法律制
定によって、個人情報保護を厳格化する狙いがあります。
同時に、法律制定の目的は、法律案が“適正化”と名付けられている通
り探偵業界の健全化が挙げられます。
残念ながら、これまでの探偵業界は、法外な料金請求や依頼主のプライ
バシーを逆手に取った脅迫行為などが、後を絶ちませんでした。
一般の新聞に探偵業の広告が掲載できないのも、こうした探偵業の問題
があるからです。
法律を制定して規制をかけることにより、探偵業を健全化し、きちんと
した業種として確立することが目的なのです。
法律案では、問題となっている「多重屋号」についても触れられています。
探偵事務所の看板を掲げておきながら、電話帳などには、また別の複数
の名前で広告を掲載している探偵事務所は少なくありません。
探偵事務所は、依頼を集めるために広告を多用していますが、複数の名
前を使うことによって、より広く依頼を集める狙いがあります。
もちろんこれは依頼主を混乱させるもので、依頼主からすれば「詐欺ま
がい」にあたるのですらあります。
この法律案では、営業所ごとに所轄の都道府県公安委員会に届け出を
行うことが定められていますが、このとき、事務所の名称などのほか、
「当該営業所において広告又は宣伝をする場合に使用する名称があると
きは、当該名称」も届け出を行うことが定められています。
これは明らかに「多重屋号」によるトラブルを意識したものだと思わ
れます。
この届け出が一般に公開されるかどうかには触れていませんが、問題
は、実際にどれだけ取り締まることができるかにあります。
法律案では探偵法に違反した場合の罰則も定められていますが、「多
重屋号」については罰則が定められていません。
これでは、どれだけの実行力があるか疑問に思えます。
また法律案は、公安委員会に対する報告義務や、公安委員会による立
ち入り検査の権限も盛り込まれており、「規制色」の強いものとなっ
ております。
アメリカでは探偵は免許制になっており、日本の探偵と比べて調査範
囲も広いことを説明しました。
今回の法律案はあくまでも「届け出制」でしかなく、だからなのか、
探偵業の業務を広げることについては触れられていません、より広範
囲なアメリカの探偵の仕事を見て、また、探偵業に対する需要の増加
を肌で感じると、一方的な規制だけではなく、探偵業の業務の「内容」
や「範囲」についてももっと前向きな言及があってもいいと、個人的
には思います。
法律案は、「多重屋号」のほかに「名義貸し」についても規制をかけて
おり、探偵業界の問題点をきちんと突いたものだと思います。
法律案では、施行後3年をめどとして、必要があれば改正されることも
盛り込まれています。法律の制定だけで終わることなく、これをきっか
けとして、より前向きな議論ができることが望ましいと思います。