探偵と興信所の教科書−探偵と興信所の仕事、基礎知識。探偵を目指す人すべての入門書

探偵は必要な情報はどのようにして集めるのか

●公開情報源を120%活用し、分析する。インターネットもフル活用
例えばアメリカのCIA(中央情報局)は、もっとも有名で大きなスパイ
機関ですが、特殊な活動を行っている人員は入ごくわずかに過ぎません。
では何をしているのかといえば、CIAでも、人員の8割は、公開情報
を分析する「分析官」なのです。
在外大使館に、CIAの人間が武官として駐在することは多いのですが、
これもまた、特殊な活動を行うためではなく、その国の公開情報を収集
して、分析する仕事がほとんどです。
スパイと探偵は違いますが、探偵も、まず公開情報の収集が大きな仕事
です。
普段は気づきませんが、日本においても、ありとあらゆる公開情報があ
ふれています。
とくに、インターネットが普及した現在、インターネット上に公開され
ている情報は、きわめて重要なものもあります。
例えば過去の新聞記事なら、「日経テレコン」などを使えば、主要全国
紙ばかりではなく、小部数の地方紙でさえ、必要な記事をすぐに入手す
ることができます。
インターネットでの情報収集で大切なことは、「検索能力」をいかに身
につけるかどうか、です。
ポータルサイトなら、私は、まず「グーグル」で探し、次に「ヤフー」
を使います。簡単な情報ならヤフーで足りますが、複雑な情報になると
、グーグルのほうが優れているからです。
インターネット上での情報収集は、必要な言葉を検索機能にかけるだけ
だと思われがちですが、実は、検索能力には個人差が大きいことが特徴
です。
優秀な探偵なら、インターネット上でものの10分で探し出すことがで
きる情報も、そうではない探偵は、1日かけても探し出せないこともあ
ります。
また「国会図書館」には、日本で発行されたありとあらゆる刊行物が所
蔵されています。
自由に閲覧できず、申請しなければ見ることができないため、時間がか
かるごとが難点ですが、国会図書館は情報の宝庫です。
もちろん、法務局に行けば、登記簿謄本から、企業や不動産にかかわる
情報をかなり収集することができます。
コンピュータ化される前は、登記簿謄本の読み方もひとつの技術でした。
コンピュータ化された現在では、登記簿謄本の取得を専門業者に任せる
ことのほうが効率的ですが、それでも、基礎的な知識があるのどないの
とでは、登記簿謄本から得る情報の量も違ってきます。
あるいは「住宅地図」も、法務局に備えつけてあるような細かい住宅地
図になると、ビル名やマンション名から、一戸建てなら所有者の名前も
知ることができます。実際に、行方不明だった人を住宅地図で見つける
ことができる例もあるのです。
電話番号案内も、都心では非公開にしている個人は多いのですが、地方
に行くと、かなり公開しています。電話帳なら、住所を知ることもでき
ます。
電話帳を例にとると、「載せていないだろう」と思って、きちんと見な
いと、思わぬ回り道をすることになります。こうした基礎的な調査は、
決して怠ってはいけません。
公開情報は、身近にあふれています。公開情報から、かなりの情報を得
ることができることは知っておいてください。
CIAの話をしましたが、CIAの分析官も、ただ情報を収集するだけ
ではなく、それを分析することが大きな仕事です。
探偵も同じです。公開情報を収集して、それを整理し、「調査費」を請
求できるレベルの報告書としてまとめることができるかどうか、これも
能力が問われます。
集めた情報を、ただ単に並べても、ほとんど価値がありません。
しかし整理し、分析することによって、大きな価値を生む場合は少なく
ないのです。
インターネットの普及は、探偵業にも大きな影響を与えました。
今ならインターネットで簡単に情報収集できる情報でも、以前なら、
探偵に依頼してきた依頼主も少なくありませんでした。
その意味では、インターネットの普及によって、探偵の仕事が減ったと
いえるかもしれません。
しかし、だからこそ問われるのが、情報を整理し、分析できる能力です。
これこそが、「プロ」として脳での見せ所です。
また、公開情報の収集と整理、分析は、根気が必要な作業です。時間も
手間もかかります。探偵は、依頼者に成り代わって、根気と手間と時間
をかける仕事でもあります。
公開情報には、必要な情報が少なくないこと。
これが、調査の基本になります。
【探偵こぼれ話】
●盗聴器をつける時代は終わった?
ターゲットの自宅内に盗聴器をつけて会話などを盗聴する調査は、以
前は、探偵事務所の稼ぎ頭でした。
もちろんこれは、場合によっては違法行為となります。
まず探偵がターゲットの自宅に勝手に入れば住居不法侵入になります
し、使う電波によっては電波法違反に問われます。
探偵が請け負うときの盗聴は、原則として協力者がいます。ですから
、ターゲットの配偶者や両親などが依頼主の場合がほとんどです。
ただし盗聴といっても、とくに以前の盗聴器は、それほど明瞭に会話
を聞き取れるわけでもありません。
すべての生活音を拾ってしまうので、雑音ばかりでほとんど聞き取れ
ないケースもあります。
現在は携帯電話の普及で、固定電話の盗聴はほとんどなくなりました。
携帯電話の盗聴は、技術的にも、ごく普通の探偵にできるものではあ
りません。