探偵と興信所の教科書−探偵と興信所の仕事、基礎知識。探偵を目指す人すべての入門書

探偵と弁護士とのつきあい方

●お互いにメリットのある協力関係を築くために、プロとして臆せず接
する
私は、仕事上で特に懇意にしている弁護士が複数人います。
若干大げさですが二人を簡単に説明すると、ひじょうに信頼できるけれ
ど、あまり無理はお願いできない弁護士と、もちろん信頼できるけれど、
それ以上に、少々の無理をお願いできる弁護士、といえるでしょうか。
探偵が、弁護士に無理をお願いしたくなるときは必ずあります。夜中に
起こして何かを聞く必要が生まれることもあります。
夜中に電話をかけても聞いてもらえる弁護士を作ることは非常に大切で
す。
それに、弁護士はきわめて高度な専門職ですが、法律ならすべてに万能
な弁護士は、それほど多くはありません。
それぞれに専門があり、得意分野も違います。
ひとりの弁護士では対応できないことも多いのです。
また、リスク管理の上でも、複数の弁護士と付き合うべきです。
連絡が取れなかったり、関係が疎遠になってしまうことも少なくないか
らです。
複数の弁護士と付き合っていれば、そうした心配はありません。
弁護士と付き合う上で、もっとも大切なことは、弁護士の立場を理解す
ることです。

弁護士法と探偵
●弁護士とは
・弁護士法概要
第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止〕
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訴事
件及び審査請求、異議申立て、再審査講求等行政政庁に対する不服申立 
事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その
他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすること
はで きない。
ただし、この法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
第73条(譲り受けた権利の実行を業とすることの禁止)
何人も、他人の権利を受けて、訴訟、調停、和解その他の手段によって
、そ の権利の実行をすることを業とすることがでぎない。
第74条(非弁護人の虚偽標示等の禁止)
弁護士又は弁護法人でない者は、弁護士又は法律事務所の表示又は記
載 をしてはならない。
2 弁護士でない者は、利益を守る目的で、法律相談その他法律事務
を 取り扱う旨の標示又は記載をしてはならない。
3 弁護士法人でない者は、その名称中に弁護士法人又はこれに類似
する名称を用いてはならない。
↓ 
弁護士の資格のない者が、報酬目的で法律事件に関して法律事務を行
うと、2年以下の懲役または300万円以下の罰金
●弁護士法に触れそうな業務
一交逓事故の示談(示談屋)、債権の回収(回収屋〕、離婚や慰謝料の
調停

弁護士は、法律に精通しています。法律について聞くならやはり弁護
士が最適ですが、同時に、弁護士は社会的地位の高い職業であり、危
険を冒すことはほとんどありません。「危険」とは、もちろん法律を破
るような行為ではなく、そのもっと前の段階のことです。
例えば、法律には抜け道があります。弁護士もそれを知っています。
しかし依頼人に対して、法律の抜け道を指南することは、まずありま
せん。
それは弁護士の倫理に反することであり、また、抜け道を教えた依頼
人が、過剰に間違った行動を起こす可能性もあります。それに対して
、弁護士は責任を問われることにもなりかねません。
弁護士は、こうしたリスクを負うことはありません。
ところが探偵は、こうしたリスクを負うことができます。
弁護士になり代わって、リスクを負って、依頼人に対応することがで
きるのです。また、そうしたリスクを負うことも、探偵の仕事のひと
つといえます。
もちろんこれは、調査活動で違法なことをしたり、あるいは、依頼主
に対して違法なことを教えることではありません。
もちろん、違法スレスレのことを指すのでもありません。
繰り返しますが、弁護士は社会的地位が高く、きわめて高度な職業倫
理が問われる職業です。法律に対する弁護士と探偵の立場の違いは、
微妙で難しい問題でもあります。これは、探偵を続けていきながら会
得するしか方法はないと思います。
当然ですが、ビジネスの上での付き合いですから、友達ではありませ
ん。
探偵がメリットを求めて弁護士と付き合うように、弁護士もまた、
メリットを求めます。
探偵も、プロとしてメリットを求められるのです。
したがって、弁護士と付き合う時には、臆せず、プロとして付き合
うべきです。
例えば、訴訟を前提にしたときに必要な証拠の収集活動があります
が、これは弁護士は基本的に行いません。依頼者に対して、必要な
証拠の収集を促すだけです。
こうした時、弁護士は依頼者に対して探偵を紹介する場合がありま
す。
しかし、よほど信頼できる探偵でなければ、弁護士は紹介しません。
もちろん、ずさんな調査を行ったら、すぐに紹介はなくなります。
弁護士という「プロ」が紹介してくれるのですから、まさに探偵の
「プロ」としての力量が問われるといえます。
また、探偵が弁護士と同じことをやっていては、仕事にはなりませ
ん。
弁護士ができないことを行って、はじめてビジネスの上での付き合
いができるのです。
探偵も、法律の知識が必要だと、前に説明しました。その知識は、
弁護士が持つ法律知識よりも、もっと実務的で、いわば、泥臭い
知識です。
そうした探偵に必要な知識を得るためにも、弁護士との付き合いは
欠かせません。
また、弁護士にとっても、そうした探偵の知識が必要になることが
あります。
探偵も、ときには弁護士の役に立つことがある-弁護士と付き合う
ときには、それぐらいの自負が必要です。