●悪質な業者を半絵面教師に。一度信頼を失えば、回復させるのはむず
かしい。
探偵業界は、決してきれいな業界ではありません。
探偵業界には、正義感が強く、依頼主のために骨身を惜しまず働く探偵
も多くいます。
しかし残念ながら、中には悪質な探偵もいて、業界のイメージを悪化さ
せていることも事実です。
悪質な探偵は、業界内でも相手にされなくなりますが、それでもなかな
か減らないのが、悪質な探偵でしょうか。
胸を張って探偵業を続けていくために、決してしてはいけないのが、依
頼主に対して「ウソをつくこと」です。
依頼主に対する「ウソ」には、様々なものがあります。
まず、「調査結果」についてウソをついてはいけません。
これには、やってもいない調査を「やった」と報告するウソから、すでに
終えている調査を、「まだ結果が出ない」と報告するウソまで、様々にあ
ります。
意外に良くあるのが、すでに調査を終えて結果を得ているのに、「まだ
結果が出ない」とウソをついて、追加の調査費を請求することです。
手元に調査結果があるのですから、探偵は、逆に強気に出ることができ
るのです。
またこれは重要ですが、調査結果は、あくまでも「客観的事実」を報告
するのであって、自分の主観的な意見は二の次だということです。
どうしても自分の意見を入れたければ、もしくは必要があると思えば、
それは「所見」として、分けて報告するべきです。
もちろん「マッチポンプ」は論外です。
調査結果を得て、依頼主から調査費を得ると同時に、調査対象者からも
金品を巻き上げようとする行為は、犯罪行為に等しいものです。
依頼者に対するタブーは、どのような形にせよ、「ウソをついてはいけ
ない」ということです。
また探偵業界では、請け負った調査を、外部の探偵に依頼する「外注」
がごく一般的に行われています。
ここでも同じですが、業者間でウソをついてはいけません。
もっとも大きなものは、請け負った調査をしていないのに、「調査をし
たが結果が出なかった」と報告することです。
これは、お互いにプロですから、すぐにバレてしまいます。
バレても「調査をした」と言い張る探偵もいますが、通用しません。
また細かいのですが、調査に使った自動車のガソリン代を水増し請求し
たり、5時間の調査を、6時間分請求したりすることも、決してしては
いけません。
お互いにプロですから、あるいは依頼主に対するよりも、ウソについて
は厳しく、誠実さが問われるといってもいいでしょう。
ウソをつかないことは人間として当たり前ですが、探偵業は、それがよ
り問われる仕事です。
【探偵こぼれ話】
探偵の仕事に「真実」はどこにもない!
新聞やテレビのニュース番組も、それは同じかもしれません。
新聞は何行かだけ、テレビのニュース番組は、ほんの数分です。器が限
られた中で、新聞やテレビのニュースが伝えられることは、そこに取り
上げられた人物の、ごく一部の部分に過ぎません。
もちろん優秀な記者が、できる限り客観的に真実を伝えようとします。
しかし、例えば五十年生きてきた人間の人生を、たかが何行か、もしく
は何分かで伝えられるわけがないのです。
探偵業を長く続けていると、ふと、そう思うことがあります。
探偵も、ターゲットの人生のごくわずかな時間を調査するに過ぎませ
ん。果たしてそれが真実なのか、いつも迷うのです。
そして、新聞記者やテレビの報道記者が、自分が取材して知ったことを
、必ずしもすべて報道できないことと同じように、探偵もまた、調査活
動で知り得た情報を、すべて依頼主に明かすとは限らないのです。
依頼主にとってつらい調査結果が出た場合、それをどこまで報告するの
か、探偵はいつも迷います。
高い調査料を支払って調査をお願いしたのだから、すべてを報告して欲
しい。依頼主は、間違いなく、こう考えます。
しかし、それはつらい報告結果を聞く前のことです。報告結果を聞いて、
「なぜ、報告したのか」と、怒り出す依頼主だっているのです。
探偵は、そうした経験を積めば積むほど、どこまで報告するべきなのか、
迷うのです。
依頼主は「真実が知りたい」といいます。
しかし依頼主が云う「真実」は、あくまでも依頼主にとって都合のいい真
実である場合も少なくありません。
「調査の結果、探偵が見た真実」、「依頼主が望む真実」そして、「探偵さ
え見えなかったターゲットの真実」これらは微妙に異なり、ときに正反
対にすらなるのです。
真実はどこにもない―そう考える探偵もいるのです。