探偵と興信所の教科書−探偵と興信所の仕事、基礎知識。探偵を目指す人すべての入門書

法律に触れる調査活動

●ごくふつうの倫理観があれば犯罪者になることはない。法律・条例等
はチェックしておく

法律に触れる調査活動を行ってはいけません。
これが大前提です。
ところが、法律は実に多岐にわたり、地方自治体が独自に定めている「
条例」も含めると、ささいなきっかけで、法律に触れてしまうこともあ
ります。
分かりやすい例なら、他人の住居の敷地内に入れば刑法の「住居不法侵
入罪」に当たります。極端な例では、尾行調査の途中にターゲット(調
査対象者)急に自転車に乗ってしまい、とっさに、探偵がそばにあった
自転車を借用したとき。これは、借用する限りにおいて、厳密にいえば
「窃盗罪」の成立は難しいのですが、代わりに「占有離脱物横領罪」に
当たることがあります。
尾行や張り込み中に、警察官に職務質問される場合もあると説明しまし
たが、警察官の職務質問に応じなければ、場合によっては「公務執行妨
害罪」になってしまう場合さえあります。
また、各地方自治体が定める「迷惑条例」もあり、尾行や張り込み中に
付近の住民などに迷惑をかければ、条例違反になりかねません。
ごく普通の倫理観で仕事をすれば法律に違反することはありません。
しかし、プロとしては法律は学んでおくべきです。

【探偵こぼれ話】
警察OBは探偵に向かない?
探偵業は警察の仕事と似ている点が多々ありますが、逆に、もっとも大
きな違いは「捜査権限」があるかどうかです。もちろん探偵には捜査権
限はありません。
実際の活動に重なる部分が多いため、警察官出身の探偵は少なくありま
せんが、警察官を辞めて探偵になった人が失敗する大きな原因は、探偵
には捜査権限がないことを理解できない場合です。
もちろん、理屈では捜査権限がないことは分かるのですが、体が忘れら
れないのです。
例えば聞き込みでは、我々探偵は、相手が何も教えてくれないことを前
提に聞き込みをし
ます。探偵が聞き込みにきたからといって、話す義務はないのです。
警察官は、警察手帳を持って聞き込みを行いますが、警察の聞き込みに
答えるのは、市民の義務のひとつです。多くの場合、誠実に答えようと
するはずです。
警察手帳の威力を忘れられず、探偵として聞き込みをしたら、まず失敗
します。
警察官出身の探偵でも優秀な人はいますが、意外に、失敗する例も少な
くありません。